書籍|分け合うな!? ケーキを大きくする経済学
興味深い本に出会いました。『GROW THE PIE』です。ロンドン・ビジネス・スクールで金融を教える著者のアレックス・エドマンズ教授が提唱する理論は、経済学者の固定観念を見事に打ち砕いてくれました。
従来の経済理論では、企業の唯一の目標は利益の最大化とされ、社会的責任は考慮されていませんでした。つまり、企業の社会的責任(CSR)と利益は、ケーキの取り合いのような関係だと考えられてきました。経済学者フリードマンの「企業の社会的責任は合法的に利益を上げることだけ」という言葉を、皆さんも講義で聞いたことがあるのではないでしょうか?
しかし、この本は異なるエビデンスを提示します。面白いことに、利益だけを追求する企業よりも、社会的責任を重視する企業の方が、結果的により大きな利益を生み出すというのです。「ケーキを分け合う」から「ケーキを大きくする」への発想の転換ですね。
つまり、企業が利益だけを追求するよりも、公益を重視する方が、結果的に利益も最大化できる。成功や利益は「意図せぬ副産物」だとするこの視点は、ビジネスだけでなく人生においても示唆に富むものです。
最近では、CSRからESG(環境・社会・ガバナンス)への進化も見られます。ESGは数値化された指標を用いるため、より実践的なアプローチとなっているところも影響しているでしょう。この変化は非常に興味深く感じます。
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