ESG評価で読み解く企業の持続可能性

ESGとは何なのか？

これは「環境（Environment）」「社会（Social）」「企業統治（Governance）」の頭文字をとった略語ですが、簡単に言えば、企業の非財務的な指標を評価するための物差しです。企業の健康診断書のようなこのESGの視点から企業を評価する仕組みが、投資や経営の現場で2010年代から注目を集めています。

これまでの企業分析といえば、主に財務諸表を見て判断していました。しかし今、投資家たちは財務諸表と同じくらいESG報告書にも真剣に目を通します。それは、ESGと財務指標が無関係というわけではないからです。たとえば、環境保全を無視して不買運動が起こるリスクや、劣悪な労働環境が原因で訴訟を起こされるリスクは、直接的に企業の財務状況に大きな影響を与えることが多々あります。時には一つのツイートや短い動画が、企業の評判を一瞬で崩壊させることもあるのです。

ESG評価は具体的にどのように行われるか？

世界的に広く使われているのは、アメリカのMSCI（モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル）が提供する評価基準です。この基準では、どの業界でも「企業統治」が全体の33%を占めますが、「環境」と「社会」の重要度は業界によって異なります。たとえば、製造業では環境の比重が高くなる一方で、サービス業では社会的側面が重視されるなど。ESG評価が数値化されることで、企業の潜在的なリスクを早期に察知するために役に立ちます。企業の心身の健康状態を読み解くように、細やかな評価が行われるのです。

今後、ESGが企業行動をどのように変えるか？

今や、多くの投資家がESGスコアを投資判断に取り入れていますが、特にMSCIの指数は、世界の多くの大手資産運用会社が参考にしており、この傾向は静かに加速すると考えます。企業側が投資家からの支持を得るためには、ESG対応が避けて通れない状況となっているからです。

もちろん、ESGの本質は「スコアを上げること」ではありません。持続可能な企業経営の実現にこそ意義があります。短期的な利益追求に比べ、持続可能性を重視するのは難しい選択かもしれませんが、ESGスコアの向上が資本市場での支持を得る鍵となることで、企業はその道を進みやすくなるでしょう。

そして、長期的な視野に立った経営は、最終的に企業にとっても社会にとってもプラスになるのです。企業は単なる利益を追求する機械ではなく、社会の中で共に成長する生きる存在であることを、ESGは思い出させてくれているのかもしれません。

- MSCI ESG Leaders Indexes -

URL: https://www.msci.com/indexes/group/esg-leaders-indexes