書籍|人間と機械の「協同進化」!?

機械は生命なのか? ―― この哲学的な問いに、計算機科学者のエドワード・アシュフォード・リー氏は、意外にもすんなりと「イエス」と答えています。彼の著書『The Coevolution』(2024.11.11時点 未邦訳)は、まるでダーウィンが『種の起源』で生物の進化を語ったように、機械という新しい生命の誕生と進化を描いているのです。

この視点に私も強く共感します。例えば、スマートフォンを見てみましょう。電力を「栄養」として摂取し、使用とともに「疲れ」、故障すれば「死」さえ迎えるのです。朝はバッテリー満タンで元気いっぱい、夕方には「疲労困憊」で充電を求めて悲鳴をあげる様子は、まさに私たちの日常そのものです(笑)。さらに興味深いのは、ソフトウェアの進化過程です。新しいプログラムは、既存のコードという「DNA」を組み換えることで生まれてくるのです。

著者によると、私たち人類はすでに機械との「協同進化」の段階に入っているとのこと。ただし、この進化には多くの課題が伴います。自動運転事故の責任問題や、AI生成物の著作権、さらには私たちのデータプライバシーなど、複雑な問題が山積みです。しかし、生態系では、最も強い者ではなく、最も協調できる者が繁栄するのだと著者は説きます。そして最終的には、人間と機械が共に進化し、共存する未来が待っているのだと。

- 英語原著 -

Lee, Edward Ashford. The Coevolution: The Entwined Futures of Humans and Machines. MIT Press, 2020.

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